家賃収入のあった親が亡くなると、その年の1月1日から死亡日までの所得は相続人が「準確定申告」として申告し、期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(国税庁タックスアンサーNo.2022)。本記事は国税庁の公式情報をもとに、誰が・いつまでに・どの税務署へ出すのか、連署の原則と「青色申告の承認は引き継がれない」点を整理しました。
先に結論を3つにまとめます。①提出するのは相続人(包括受遺者を含む)で、相続人が複数なら連署が原則。②提出先は親の死亡当時の納税地の税務署で、淀川区・東淀川区なら東淀川税務署。③親が青色申告者でも承認は相続人に自動で移らず、改めて申請が要り、その期限が準確定申告より先に来る月があります。
準確定申告の仕組み—「1月1日から死亡日まで」を区切る
所得税は本来、1年分の所得を翌年3月15日までに本人が申告する税金です。本人が年の途中で亡くなると、相続人(包括受遺者を含む)が1月1日から死亡日までに確定した所得金額と税額を計算し、本人に代わって申告・納税します(国税庁タックスアンサーNo.2022)。これが準確定申告です。
期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です(同)。翌年3月15日という通常の感覚で待っていると間に合いません。
年明けに亡くなった場合の注意点もあります。前年分の確定申告をしなければならない人が、翌年1月1日から確定申告期限までの間に申告書を提出しないまま亡くなった場合、前年分の申告も相続人が同じ4か月の期限で行います(同)。前年分と当年分の2通を出すことになるわけです。

家賃収入で線を引く場所—死亡日の前後
賃貸併用の実家や駐車場の収入がある場合、どこまでが親の所得で、どこからが相続人の所得かを死亡日で切り分けます。家賃・地代・共益費は、契約で支払日が定められていればその支払日、定めがなければ実際に受け取った日に収入として計上するのが原則です(国税庁タックスアンサーNo.1376)。したがって、死亡日までに支払日が到来した家賃が親の準確定申告の対象になります。
死亡日の翌日以降の家賃は相続人の所得です。遺産分割が決まる前の家賃は、相続財産が各共同相続人の共有に属するため、法定相続分に応じて各相続人が申告します(国税庁タックスアンサーNo.1376関連Q&A「未分割遺産から生ずる不動産所得」)。後で分割が確定しても、未分割期間の所得の帰属は変わらないとされています(同)。
必要経費も同じ線で分けます。減価償却費の考え方は減価償却の基本で整理していますが、固定資産税などの按分の細部は個別性が高いため、税務署または税理士に確認したほうが安全です。
所得控除は「死亡日までに払ったもの」だけ
準確定申告では、通常の確定申告と同じ所得控除を使えますが、対象期間の切り方が違います。医療費控除は死亡日までに親本人が支払った医療費が対象で、死亡後に相続人が支払った分は準確定申告では控除できません(国税庁タックスアンサーNo.2022)。社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除も、死亡日までに親が支払った保険料等が対象です(同)。
一方で、配偶者控除や扶養控除の適用の有無は死亡日の現況で判定し、月割計算はしません(同)。年の途中で亡くなっても、これらの控除は1年分がそのまま使えます。
準確定申告で納める所得税は、死亡時に確定していなくても相続税の計算で遺産総額から差し引ける債務とされています(国税庁タックスアンサーNo.4126)。ただし、相続人側の責任で生じた延滞税や加算税は差し引けません(同)。期限を守ること自体が、相続税の計算にも影響します。相続税がかかるかの目安は基礎控除の考え方を参照してください。

相続人が複数のときの出し方—連署・付表・委任状
相続人が2人以上いるときは、各相続人等が連署で準確定申告書を提出するのが原則です(国税庁タックスアンサーNo.2022)。他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することもできますが、その場合は申告書を提出した相続人等が、他の相続人等に申告した内容を通知しなければなりません(同)。
申告書には「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付し、各相続人等の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入します(同)。還付になる場合に、還付金の受領を相続人代表者に委任するなら、付表とは別に還付金の受領に関する委任状が必要です(同)。
e-Taxでも提出できます。令和2年分(2020年分)以後が対象で、相続人が1名でも付表をXML形式で提出し、2名以上なら各相続人が申告内容を確認して署名した「確認書」のPDFを送信します(国税庁「準確定申告のe-Tax対応について」)。利用者識別番号と電子証明書は相続人代表1名分のみで、確定申告書等作成コーナーからは作成できず、e-Taxソフト等を使う案内になっています(同)。
青色申告の承認は引き継がれない—死亡月で変わる申請期限
ここが本記事でいちばん注意してほしい点です。親が青色申告で家賃収入を申告していても、その承認は相続人に自動では移りません。青色申告の承認を受けていた被相続人の業務を承継した場合、相続人が青色申告を続けるには、改めて「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(国税庁タックスアンサーNo.2070)。
その提出期限は、親の死亡日が何月かで変わります(同)。編集部で準確定申告の期限と並べると、次のようになります。
親の死亡日 | 準確定申告の期限(No.2022) | 青色申告承認申請書の期限(No.2070) |
|---|---|---|
1月1日〜8月31日 | 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 | 死亡の日から4か月以内 |
9月1日〜10月31日 | 同上 | その年12月31日 |
11月1日〜12月31日 | 同上 | 翌年2月15日 |
この表から読み取れるのは、青色申告の申請期限が準確定申告の期限より先に来る月があることです。10月下旬に亡くなった場合、準確定申告の期限は翌年2月下旬ですが、青色申告承認申請書はその年の12月31日が期限です。準確定申告の準備中に青色の申請期限が過ぎる、という順番の落とし穴です。親が白色申告者なら、その年の1月16日以後に承継した場合は承継した日から2か月以内です(同)。
青色申告の実益は相続人自身の翌年以降の申告にあり、正規の簿記で記帳しe-Tax申告または電子帳簿保存をすれば最高65万円の青色申告特別控除が使えます(同)。条件は青色65万円控除の3条件で整理しています。貸し続ける可能性があるなら、申請書だけ先に出しておく判断が合理的です。
淀川区・東淀川区の提出先—東淀川税務署
提出先は、相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡当時の納税地の税務署です(国税庁タックスアンサーNo.2022)。親が淀川区や東淀川区に住んでいたなら、管轄は東淀川税務署(〒532-8558 大阪市淀川区木川東2丁目3番1号)で、管轄区域は東淀川区と淀川区です(国税庁「東淀川税務署 所在地・案内」)。
アクセスはOsaka Metro御堂筋線西中島南方駅・阪急京都線南方駅からいずれも徒歩10分、開庁時間は月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時までです(同)。淡路や下新庄など東淀川区の実家でも、阪急で南方まで出れば窓口に行けます。
書面を郵送する場合の送付先は大阪国税局東淀川業務センターと案内されており、令和7年(2025年)1月からは申告書等の控えに収受日付印を押さない扱いです(同)。提出の記録を残したいなら、e-Taxの受信通知など代わりの方法を事前に確認しておくことをおすすめします。相続に関する他の窓口は北大阪の役所窓口一覧にまとめています。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 準確定申告は、相続人(包括受遺者を含む)が親の1月1日から死亡日までの所得を申告する手続きで、期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内
- 家賃は契約上の支払日で区切り、死亡日までが親の所得、翌日以降は相続人の所得(未分割の間は法定相続分)
- 医療費控除や社会保険料控除は死亡日までに親が支払った分だけ。配偶者控除・扶養控除は死亡日の現況で判定し月割しない
- 相続人が複数なら連署が原則。付表の添付が必要で、還付金を代表者が受け取るなら委任状も要る
- 親の青色申告の承認は引き継がれない。相続人の申請期限は死亡月で異なり、準確定申告より先に来る月がある
- 提出先は親の死亡当時の納税地の税務署。淀川区・東淀川区は東淀川税務署
期限や様式の最新情報は国税庁のページで、家賃や経費の按分など個別の計算は税務署または税理士にご確認ください。相続した家を今後どうするかは相続した空き家の4択で整理しています。
※本記事の情報は2026年9月時点の国税庁公表資料に基づきます。
あわせて読みたい
出典
- 国税庁タックスアンサーNo.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(2026年9月17日閲覧)
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について」(2026年9月17日閲覧)
- 国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」(2026年9月17日閲覧)
- 国税庁タックスアンサーNo.1376「不動産所得の収入計上時期」(2026年9月17日閲覧)
- 国税庁タックスアンサーNo.4126「相続財産から控除できる債務」(2026年9月17日閲覧)
- 国税庁「東淀川税務署 所在地・案内」(2026年9月17日閲覧)



