塚本はJR神戸線(東海道本線)で大阪駅から1駅・約3分、十三は阪急で大阪梅田駅から1駅・約3分。どちらも大阪市淀川区にある「梅田1駅」の駅ですが、塚本は普通しか停まらないJRの各駅停車の駅、十三は阪急3路線が集まる大阪有数のターミナルという対照的な性格を持ちます。家賃はワンルームが塚本6.92万円・十三6.65万円と単身帯ではむしろ十三がやや安く、1LDKは塚本9.78万円・十三12.11万円と広くなるほど塚本が安くなります(LIFULL HOME'S、2026-07-18時点)。本記事は、この2駅を間取り別の家賃と路線構造で選び分けます。
「同じ淀川区で、同じ梅田1駅」と聞くと、家賃も住み心地も似た2駅に思えます。しかし塚本と十三は、駅の成り立ちも家賃の伸び方もはっきり違います。単身では十三が安く、広い間取りでは塚本が安いという逆転が、この2駅の関係を分かりやすくしています。
対照的な2駅—各停の塚本、3線結節の十三
塚本と十三は、淀川をはさんで梅田の反対側(北側)に位置する淀川区の駅です。ただし駅としての役割は大きく異なります。
観点 | 塚本(JR神戸線) | 十三(阪急) |
|---|---|---|
路線 | JR神戸線(東海道本線)の1路線 | 阪急京都線・宝塚線・神戸線の3路線 |
停車種別 | 普通のみ(快速・新快速は通過) | 各路線の列車が結節 |
梅田まで | 大阪駅へ1駅・約3分 | 大阪梅田駅へ1駅・約3分 |
駅の性格 | 落ち着いた下町型の住宅街 | 商店街と繁華街を抱える交通拠点 |
塚本はJR神戸線の普通しか停まらず、快速・新快速は通過して大阪駅と尼崎駅を直結します(JRおでかけネット)。速達が素通りするため、駅前は梅田1駅とは思えないほど静かに保たれる一方、大阪駅までは1駅・約3分で所要時間の不利はほとんどありません(駅探)。塚本は1934年(昭和9年)開業で、前身は1918年に置かれた貨物列車待避のための「歌島信号場」でした。信号場から発達したという成り立ちが、今の控えめな各停駅の性格につながっています。
十三は阪急の京都線・宝塚線・神戸線が結節する要衝で、大阪梅田駅まで1駅・約3分(阪急電鉄)。梅田・京都河原町・神戸三宮・宝塚の各方面へ乗り換えなしで展開できる立地は、関西でも限られています。駅西口には商店街と繁華街が広がり、朝夕は3路線の通勤客が交差する、終日人通りの絶えない拠点です。
一方は貨物信号場から生まれた静かな各停駅、もう一方は3路線が集まる繁華なターミナル。この性格差が、次に見る家賃の形の違いを生んでいます。

間取り別の家賃相場を並べる
塚本駅と十三駅の間取り別の家賃相場は次のとおりです(LIFULL HOME'S、2026-07-18時点、駅徒歩10分圏の平均賃料)。
間取り | 塚本 | 十三 | 差(十三−塚本) |
|---|---|---|---|
ワンルーム | 6.92 万円 | 6.65 万円 | −0.27 万円 |
1K | 7.13 万円 | 6.94 万円 | −0.19 万円 |
1DK | 8.18 万円 | 8.29 万円 | +0.11 万円 |
1LDK | 9.78 万円 | 12.11 万円 | +2.33 万円 |
2DK | 7.12 万円 | 11.23 万円 | +4.11 万円 |
2LDK | 10.69 万円 | 22.95 万円 | +12.26 万円 |
※ 塚本の2Kは6.60万円、十三の3LDKは31.70万円(LIFULL HOME'S、2026-07-18時点)。十三の2Kは同時点で公表値なしのため表から除いています。
単身向けのワンルーム・1K帯では十三のほうが0.2〜0.3万円安く、1DKでほぼ互角、そこから間取りが広くなるほど十三が高くなり、塚本が安くなります。同じ梅田1駅でも、家賃の「伸び方」がはっきり違うことが数字に表れています。
家賃カーブの分岐点は1DK付近
本記事の整理で注目したいのは、2駅の家賃差が間取りによって符号を変える点です。単身帯(ワンルーム・1K)では十三が安く、1DKで両駅がほぼ並び、1LDK以上では塚本が明確に安くなります。差が反転する境界は、おおむね1DKから1LDKのあいだにあります。
この分岐は、2駅の物件供給の違いで説明できます。十三は阪急3路線が集まるターミナルで、単身向けのワンルーム・1K物件の供給が厚く、これが単身帯の平均を押し下げます。塚本は下町型の住宅街で、旧規格の広めの部屋を含む在庫が家賃を抑えます。実際、塚本では2K(6.60万円)がワンルーム(6.92万円)・1K(7.13万円)を下回る逆転も起きており、広さ優先で古めの部屋を狙える余地があります。
反対に、十三の1LDK・2LDKが高く出るのは、駅近や築浅の物件が平均を押し上げていることに加え、広い間取りは母数(掲載件数)が少なく、平均が高いほうへ振れやすいためと考えられます。十三の2LDK22.95万円・3LDK31.70万円という水準は、単身帯の相場から連続して読める数字ではなく、少数の高額物件を含んだ平均である可能性を踏まえて見る必要があります(LIFULL HOME'S、2026-07-18時点)。
したがって、住まい選びの読み方は間取りで変わります。単身で部屋を探すなら、供給が厚く相場も低い十三のほうが選択肢を取りやすく、家賃も抑えられます。1LDK以上の広い部屋を家賃を抑えて探すなら、相場が連続してなだらかに上がる塚本のほうが現実的です。十三側の間取り別の実勢は 十三の1K家賃相場 と 十三の1LDK家賃相場 に、淀川区全体の駅別比較は 淀川区の家賃比較 にまとめています。

路線の使い方で選び分ける
家賃と並んで判断を分けるのが、路線の使い方です。
塚本はJR神戸線の普通のみ停車で、大阪駅までは1駅ですが、大阪駅より西の三ノ宮方面や京都方面へ速達で向かうには、いったん大阪駅で快速・新快速に乗り換える必要があります(JRおでかけネット)。勤務先や生活の目的地が大阪駅、または大阪駅乗り換えで完結する層には、静けさと近さを両立できる駅です。
十三は阪急京都線・宝塚線・神戸線の3路線が結節し、梅田だけでなく京都・神戸・宝塚方面へも乗り換えなしで向かえます(阪急電鉄)。京都府・兵庫県方面への通勤や客先回りが多い層には、この3方面の直通が強みになります。買い物や外食の選択肢も、商店街を抱える十三のほうが駅前で完結しやすい傾向です。
なお、新大阪・十三・淡路の3駅は大阪府・大阪市の公式方針で一体のまちづくりエリアとして位置づけられていますが、塚本はこの拠点計画の対象駅ではありません。3拠点の枠組みは 新大阪・十三・淡路は「3拠点」で動く を参照してください。将来の街の更新を織り込みたいなら十三、既成市街地の落ち着きを取るなら塚本、という視点も選び分けの材料になります。
どちらに住むのが向くか
2駅の性格と家賃構造をふまえると、向く層は次のように整理できます。
塚本が向くのは、勤務先が大阪駅または大阪駅乗り換えで完結する層、駅前の静けさを優先したい層、そして1LDK以上の広めの部屋を家賃を抑えて探したいファミリー・二人暮らしの層です。1LDK9.78万円・2LDK10.69万円という水準は、梅田1駅の立地としては手が届きやすい帯です(LIFULL HOME'S、2026-07-18時点)。
十三が向くのは、京都・神戸・宝塚方面への乗り換えが多い層、駅前で買い物・外食を完結させたい層、そしてワンルーム・1Kの単身物件を選択肢豊富に探したい層です。単身帯の相場は塚本よりわずかに低く、供給も厚めです。塚本・十三それぞれの街の実像は 塚本の住みやすさ と 十三の住みやすさ で詳しく整理しています。
まとめ
塚本と十三の選び分けのポイントを整理します。
- 塚本はJR神戸線で普通のみ停車の静かな下町住宅街、十三は阪急3路線が結節する繁華なターミナル。どちらも梅田まで1駅・約3分
- 単身帯はワンルーム塚本6.92万円・十三6.65万円、1K塚本7.13万円・十三6.94万円で、わずかに十三が安い
- 1LDKは塚本9.78万円・十三12.11万円、2LDKは塚本10.69万円・十三22.95万円で、広い間取りは塚本が安い
- 家賃差が反転する分岐点は1DK付近。単身なら十三、広め間取りなら塚本という読み方になる
- 路線は、大阪駅完結なら塚本、京都・神戸・宝塚方面へも展開するなら3線結節の十三で選び分ける
同じ淀川区・同じ梅田1駅でも、各停の塚本と3線ターミナルの十三は家賃カーブの形が異なります。単身か広め間取りか、目的地が大阪駅で足りるか3方面へ広がるかで、住みやすい駅は入れ替わります。
新大阪と十三の単身比較は 新大阪と十三、一人暮らしどっち も参照してください。
※ 本記事の家賃データは2026年7月時点のLIFULL HOME'S公表値、路線・駅情報は各鉄道事業者・出典の公表値に基づきます。最新の数値は各公式資料でご確認ください。



