塚本駅は大阪市淀川区にあり、JR神戸線(東海道本線)で大阪駅からわずか 1 駅・約 3 分の住宅街です(駅探)。ただし停車するのは普通列車のみで、快速・新快速は通過します(JRおでかけネット)。この「普通しか停まらない」という構造こそが、梅田至近でありながら通過客の少ない落ち着いた街をつくっています。ワンルームの家賃相場は 6.92 万円(LIFULL HOME'S、2026-07-17)。本記事は、JR 側の「梅田 1 駅の穴場」としての塚本を、公式情報と家賃データで整理します。

「梅田まで 1 駅」と聞くと、便利な代わりに家賃が高く、駅前が騒がしい街を思い浮かべる方が多いかもしれません。塚本はその通説にあてはまりません。大阪駅の隣という一等地の条件を持ちながら、駅の性格は速達列車が素通りする静かな各駅停車の街です。なぜそうなるのかを、駅の構造から順に見ていきます。

「大阪駅 1 駅」なのに目立たない駅

塚本駅は大阪駅から 3.4km、JR 神戸線の隣の駅です(JRおでかけネット)。大阪駅方面の反対側の隣は尼崎駅で、そこから JR 宝塚線・JR 東西線が分岐します。つまり塚本は、大阪駅とその西側の鉄道分岐点である尼崎駅にはさまれた区間に立地しています。

一方で、塚本は十三や新大阪のような巨大ターミナルではありません。2024 年度の 1 日平均乗車人員は 19,573 人で、JR 西日本の駅では第 50 位です(Wikipedia「塚本駅」)。梅田の隣という立地の割に規模が中程度にとどまるのは、次に述べる停車パターンが理由です。

なお塚本は 1934 年(昭和 9 年)7 月 20 日の開業で、前身は 1918 年に置かれた「歌島信号場」でした(Wikipedia)。貨物列車の待避拠点として生まれた信号場に旅客ホームが後付けされた、という成り立ちが、駅の控えめな性格に今もつながっています。

清洲城大手橋より東海道新幹線を見る
清洲城大手橋より東海道新幹線を見る

穴場の正体—普通しか停まらない駅

塚本の街が落ち着いている最大の理由は、停車する列車の種別にあります。

列車種別

塚本駅

普通(各駅停車)

停車

快速・新快速

通過

丹波路快速(JR宝塚線)

通過

JR 神戸線・京都線を走る快速や新快速は、塚本を通過して大阪駅と尼崎駅を直結します(JRおでかけネット)。塚本に停まるのは普通列車のみで、JR 宝塚線(福知山線)方面の普通も利用できます。

本記事の整理では、この「速達が通過する」という条件が塚本の住み心地を左右する境界線です。速達の乗り換え客や乗降のピークが素通りするため、駅前は梅田 1 駅とは思えないほど静かに保たれます。その一方で、大阪駅までは普通で 1 駅・約 3 分。速達が使えないことによる所要時間の不利はほとんどありません。「速達は素通りするが、目的地の大阪駅は隣」という位置関係が、通過交通の喧噪を避けつつ都心近接を得られる穴場性を生んでいます。

ただし注意点もあります。大阪駅より西の三ノ宮方面や、京都方面へ速達で向かう場合は、いったん大阪駅で快速・新快速に乗り換える必要があります。塚本単独で広域の速達アクセスが完結するわけではない点は、住まい選びの前提として押さえておく必要があります。

家賃相場を間取り別に読む

塚本駅の間取り別の家賃相場は次のとおりです(LIFULL HOME'S、2026-07-17)。

間取り

家賃相場

ワンルーム

6.92 万円

1K

7.13 万円

1DK

8.18 万円

1LDK

9.78 万円

2K

6.60 万円

2DK

7.12 万円

2LDK

10.69 万円

単身向け(ワンルーム〜1K)は 7 万円前後で、梅田 1 駅という立地としては手が届きやすい水準です。

ここで編集部が独自に注目したいのが、2K(6.60 万円)がワンルーム(6.92 万円)・1K(7.13 万円)を下回っている点です。通常は部屋数が増えれば家賃も上がりますが、塚本ではより広いはずの 2K のほうが 1K より安い逆転が起きています。これは、2K・2DK が比較的築年の経った旧規格の物件に多く、供給も限られるためと考えられます。つまり、単身でも「広さ優先で古めの 2K・2DK を狙う」ほうが、1K より安く広い部屋に住める余地があるという読み方ができます(本記事による HOME'S 数値の独自整理)。設備の新しさを優先するならワンルーム・1K、広さと家賃を優先するなら旧規格の 2K・2DK、という選び分けが、塚本の家賃構造から導ける実務的な指針です。

淀川区全体の家賃水準や近隣駅との比較は 淀川区の家賃比較 を参照してください。

富士川橋梁を渡る 東海道新幹線
富士川橋梁を渡る 東海道新幹線

淀川区の住宅街としての塚本

塚本は大阪市淀川区塚本二丁目に位置します。淀川区は新大阪・十三を含む大阪市北部の行政区で、塚本は区の南西部、淀川の右岸(南側)にある JR 神戸線の駅です。区の人口・世帯の構成は 淀川区と東淀川区の人口 にまとめています。

駅そのものにも特徴があります。塚本駅は 1969 年に高架化され、ホームは 2 面 4 線の構造ですが、外側の線は安全柵で閉鎖されており、実質的には 2 面 2 線として機能しています(Wikipedia)。また構内に北方貨物線とのデルタ線(三角形に線路が分岐する配線)を抱えており、鉄道ファンには貨物列車や回送列車が行き交う撮影地として知られています。旅客の乗降とは別に、大阪駅を経由しない貨物ルートの結節点でもあるという二面性が、信号場から発達した塚本らしい成り立ちを物語ります。

生活圏としては、駅を出るとすぐに住宅と個人商店が混在する市街地が広がる、生活感のある下町型の街並みです。梅田直近の新興タワー街区とは異なり、日常の買い物と住まいが徒歩圏で完結する点が、通勤利便と生活コストの両立を求める層に向いています。

JR 側(塚本)か阪急側(十三)か—梅田 1 駅の選び分け

淀川区には、梅田(大阪駅)まで 1 駅の駅が JR 側と阪急側の両方にあります。JR 側が塚本、阪急側が十三です。同じ「梅田 1 駅」でも性格は対照的で、住まい選びでは次の判断軸で選び分けるのが実務的です。

観点

塚本(JR 神戸線)

十三(阪急)

停車・路線

普通のみ停車の 1 路線

京都線・宝塚線・神戸線の 3 路線が結節

駅の雰囲気

落ち着いた住宅街

歓楽街と商店街を抱える繁華な拠点

向く層

静けさ・通勤の単純さを重視

京都・神戸・宝塚方面への乗り換えの多さを重視

塚本が向くのは、勤務先が大阪駅(梅田)や大阪駅乗り換えで完結する層、駅前の静けさを優先したい層です。京都・神戸・宝塚方面へ日常的に乗り換える必要があるなら、3 路線が集まる十三のほうが優位です。十三側の街の実像は 十三の住みやすさ で詳しく整理しています。

なお、新大阪・十三・淡路の 3 駅は大阪府・大阪市の公式方針で一体のまちづくりエリアとして位置づけられていますが、塚本はこの拠点計画の対象駅ではありません。3 拠点の枠組みは 新大阪・十三・淡路は「3 拠点」で動く を参照してください。塚本は再開発の主役ではなく、既成市街地の落ち着きがそのまま魅力になる駅だという整理になります。

まとめ

塚本エリアの住みやすさのポイントを整理します。

  • 塚本は大阪市淀川区、JR 神戸線で大阪駅から 1 駅・約 3 分の住宅街
  • 停まるのは普通のみで快速・新快速は通過。速達の通過客が少なく駅前が静か
  • 大阪駅までは 1 駅のため、速達が使えなくても所要時間の不利はほとんどない
  • 単身向け家賃はワンルーム 6.92 万円・1K 7.13 万円(HOME'S)。2K が 1K を下回る逆転があり、広さ優先なら旧規格 2K・2DK も選択肢
  • 同じ梅田 1 駅でも、静けさなら塚本(JR)・乗り換えの多さなら十三(阪急)で選び分ける

信号場として生まれ、速達に素通りされ続けてきた駅が、その「通過される」性格ゆえに梅田至近の静かな住宅街として残りました。塚本の住まい選びは、速達停車の有無というマイナスに見える条件を、静けさというプラスに読み替えられるかで評価が変わります。

※ 本記事の家賃データは 2026 年 7 月時点の LIFULL HOME'S 公表値、統計は各出典の公表値に基づきます。最新の数値は各公式資料でご確認ください。

十三の住みやすさ

淀川区の家賃比較

新大阪・十三・淡路は「3 拠点」で動く