新大阪を含む淀川区の刑法犯認知件数は、大阪府警察の令和7年(2025年)犯罪統計で 2,153 件、大阪市 24 区の中で 5 番目でした(大阪府警察「市区町村別認知件数」令和7年〔2025年〕公表)。ただし件数の上位は中央区(6,162 件)・北区(4,789 件)・浪速区(2,422 件)など、繁華街やオフィス街を抱える区が占めます。区単位の件数だけで街の安全を判断するのは、駅型の商業地では読み違いを招きます。
「新大阪の治安はデータで見るとどうか」「区の件数ランキングをどう読むか」をまとめました。本記事は大阪府警察の公開データをベースに、認知件数の読み方と、町丁単位で確認するための公的ツールを整理したものです。
特定の町丁や物件を「危険」と断定することはしません。地域ごとの発生状況は、後述する大阪府警察の犯罪発生マップ(安まちアプリ)で候補物件の住所周辺をご自身で確認するのが基本です。
区の件数ランキングという読み違い
住む街を探すとき、「区ごとの犯罪件数」を並べて多い順に不安を感じる見方は広く行われています。新大阪は大阪市淀川区にあり、その淀川区は令和7年(2025年)の刑法犯認知件数で大阪市 24 区中 5 番目です。この順位だけを見ると、順位の数字がそのまま住みやすさの評価に置き換わりがちです。
しかし、認知件数はその区で「発生した」件数であって、住民 1 人あたりの遭遇率でも、住宅街の安全度でもありません。新大阪は新幹線・JR 在来線・大阪メトロ御堂筋線が集まる広域交通拠点で、住む人よりも通り過ぎる人・働きに来る人が多い駅です。この「駅型」の性格が、区の件数をどう膨らませるのかを分けて考える必要があります。
新大阪駅そのものの立地や街の性格は 新大阪エリアの住みやすさ徹底解説 もあわせてご確認ください。

データの実態—淀川区は5位、だが上位は繁華街型
大阪府警察が公表する「刑法犯罪種及び手口別発生市区町村別認知件数」(令和7年〔2025年〕1〜12 月の確定値)から、大阪市の区別で認知件数の上位を並べると次のとおりです。
順位 | 区 | 刑法犯認知件数(件) | 区の性格 |
|---|---|---|---|
1 | 中央区 | 6,162 | ミナミ・オフィス街 |
2 | 北区 | 4,789 | キタ(梅田)・オフィス街 |
3 | 浪速区 | 2,422 | 難波・歓楽街 |
4 | 西成区 | 2,302 | 繁華街・古くからの市街地 |
5 | 淀川区 | 2,153 | 新大阪・十三ターミナル |
6 | 東淀川区 | 1,866 | 住宅地中心 |
(数値: 大阪府警察「市区町村別認知件数」令和7年〔2025年〕。大阪市 24 区合計は 40,485 件、大阪府全体の刑法犯認知件数は 84,107 件)
上位 5 区のうち、1〜4 位はいずれも繁華街・オフィス街・歓楽街を抱える区です。淀川区も新大阪と十三という 2 つのターミナルを持ち、この並びに近い性格を持ちます。一方、同じ淀川区隣接で住宅地が中心の東淀川区は 1,866 件で、大阪市の中位グループに位置します。
つまり、上位に並ぶ区の共通項は「住宅密度が高い」ことではなく「人が集まる拠点を抱える」ことです。新大阪(淀川区)の 5 位は、住宅街の危険度というより、駅と商業の集積を映した数字です。本記事の整理では、住宅ゾーンの安全度とは切り分けて読みます。
なぜ駅型商業地は件数が大きく出るのか
認知件数は「その場所で認知された事件の数」です。分母にあたる人の数を住民登録者だけで考えると読み違えます。新大阪のような広域交通拠点は、日中に働きに来る人・乗り換えで通過する人・出張や観光で訪れる人が住民数を大きく上回ります。件数は住民だけでなく、こうした昼間人口・来街者の行動範囲でも発生します。
繁華街を抱える中央区・北区・浪速区が上位に来るのは、この構造の典型です。新大阪も同じく、駅周辺の商業ゾーンと、少し離れた宮原・東中島などの住宅ゾーンでは街の性格が分かれます。区という広い単位で件数をならすと、この駅周辺の集積が住宅街の評価まで押し上げて見えてしまいます。
昼間人口と夜間人口の差という観点は 昼間人口と夜間人口で読む北大阪の街 で扱っています。区の件数を読むときは、その区がどれだけ「昼に人を集める区」なのかを併せて見るのが、本記事の整理の起点です。

町丁単位で確認する—安まちアプリと犯罪オープンデータ
区の件数で断じる代わりに、候補物件の住所周辺を町丁単位で確認します。大阪府警察は、地域住民等の自主防犯活動に活用してもらうため犯罪発生情報を公開しています。主なツールは 2 つです。
- 安まちアプリ: 大阪府警察が 2021 年に提供を始めたスマートフォンアプリ(登録・使用は無料)。ひったくり・路上強盗・子供被害情報・女性被害情報・特殊詐欺など 9 種類の発生情報を配信し、過去の発生情報を防犯マップに地図表示できる
- 犯罪オープンデータサイト: 令和 6 年・令和 5 年・令和 4 年など年単位の犯罪発生情報を罪種別に公開。市区町村別の認知件数・検挙件数も PDF で確認できる
これらは匿名化された統計データで、特定物件単位ではなくエリア全体の傾向を把握する用途です。配信地区や情報の種別はアプリ側で選択できるため、候補エリアを絞って傾向を追えます。
新大阪で部屋を選ぶときの確認手順
区の件数ランキングは出発点にはなりますが、判断はより細かい単位で行います。次の手順が具体的です。
- 候補物件の所在地を安まちアプリ・犯罪発生マップで確認する
- 駅周辺の商業ゾーンか、宮原・東中島などの住宅ゾーンかを地図で見分ける
- 駅から自宅までの徒歩動線を、昼と夜の両方で歩いて人通りと街灯を確認する
- 複数候補を同じ基準で並べ、町丁単位の傾向で比較する
単身の部屋選びで優先度の高い防犯設備(オートロック・窓の補助錠・階数など)の読み方は 単身女性の安全な部屋選び—公的治安データと防犯設備の読み方 に整理しています。駅周辺の性格が住宅街と繁華街で分かれる事例は 十三の治安は東口と西口で一変、隣接する住宅地寄りの駅は 西中島南方エリアの住みやすさ もあわせてご確認ください。
まとめ
新大阪(淀川区)の治安を犯罪データで読むときのポイントを整理します。
- 淀川区は大阪市 24 区中 5 位: 令和7年(2025年)の刑法犯認知件数 2,153 件(大阪府警察)。ただし単純な多寡ではない
- 上位は繁華街型の区: 中央区 6,162 件・北区 4,789 件・浪速区 2,422 件など、人が集まる拠点を抱える区が占める
- 件数は来街者・昼間人口を映す: 新大阪は広域交通拠点で、区の件数は駅と商業の集積を強く反映する
- 判断は町丁単位で: 安まちアプリ・犯罪オープンデータで候補物件の住所周辺を確認し、駅周辺の商業ゾーンと住宅ゾーンを見分ける
- 動線を現地で確認: 駅から自宅までを昼と夜の両方で歩き、複数候補を同じ物差しで並べる
区の件数ランキングで街を決めず、公的データで候補を同じ物差しに並べ、内見で動線を確かめる——これが駅型商業地である新大阪で部屋を選ぶときの再現性のある進め方です。
※ 本記事の情報は 2026 年 7 月時点の公開情報に基づきます。犯罪統計は毎年更新されるため、最新情報は大阪府警察の公式ページ・安まちアプリでご確認ください。



