「収入が減って、来月の家賃が払えるか分からない」。この段階で使える公的制度が住居確保給付金です。結論から書くと、大阪市では離職・廃業から2年以内の人や本人都合によらない収入減の人を対象に、単身世帯で月40,000円を上限とする家賃相当額が、自治体から大家などへ直接支払われます(大阪市・厚生労働省)。本記事は厚生労働省と大阪市の公式情報をもとに、対象の境界線と相談の順番を整理しました。
大事なのは、「滞納してから」ではなく「払えなくなるおそれがある」時点で申請できる設計だという点です。入口は区役所の相談窓口で、淀川区・東淀川区にもそれぞれ窓口があります(大阪市)。
住居確保給付金の位置づけ
住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づく支援メニューの一つです。厚生労働省の説明では、離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方に対し、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給する制度とされています(厚生労働省)。
この法律は平成27年(2015年)4月施行で、平成20年(2008年)のリーマンショックに端を発した雇用・失業情勢の悪化が背景にあります。令和6年(2024年)の改正では、家賃の低い住宅への転居費用の補助が創設されました(厚生労働省「制度の沿革」)。「払い続ける」支援から「家賃を下げて立て直す」支援まで守備範囲が広がっています。
制度の入口は、各自治体の自立相談支援機関です。支援員が相談者と困りごとを分析し、支援プランを作って自立に向けた支援を行う窓口で(厚生労働省)、給付金の申請と求職活動の伴走を同じ場所で受けられます。

対象になる人・ならない人の境界線
大阪市の案内では、次の4つすべてに該当する人が対象です(大阪市)。
- 離職・廃業から2年以内であるか、本人の都合によらない就業機会等の減少で経済的に困窮している
- 世帯の収入が基準額以下で、資産が一定額以下である
- 離職時点で世帯の生計を最も支えている立場である
- 受給中に求職活動を行う予定がある
裏返すと、対象外になりやすいのは、離職から2年を超えている人、世帯の主たる生計維持者ではない人(配偶者や親が主に家計を支えている場合など)、預貯金などの資産が基準額を超える人、求職活動を行う予定がない人です。編集部の整理では、見落とされやすいのは3の「主たる生計維持者」で、同居家族の収入で家計が回っている場合は該当しないことがあります。個別の判断は窓口で確認が必要です。
なお、大阪市の案内では自営業の廃止や、本人の都合によらない休業等での収入減も含まれます(大阪市)。事業の再生をめざす人向けの活動要件も別に用意されているため(大阪市「受給期間中の要件」)、フリーランスや個人事業主も相談の対象です。
大阪市の上限額と収入・資産基準
支給額の上限は世帯人数で決まります。大阪市の案内に基づく上限額は次のとおりです(大阪市、2026年9月時点)。
世帯人数 | 支給額の上限(月額) |
|---|---|
1人 | 40,000円 |
2人 | 48,000円 |
3〜5人 | 52,000円 |
6人 | 56,000円 |
7人以上 | 62,000円 |
支給額は「基準額+実際の家賃額-月の世帯収入」で計算し、上限額を超えない範囲で決まります(大阪市)。厚生労働省の説明では、この上限は生活保護の住宅扶助額を基準に市区町村ごとに定められます(厚生労働省特設サイト)。
収入基準は「基準額+家賃額(上限あり)」で、単身世帯なら基準額92,000円に家賃(上限40,000円)を足した132,000円が目安です(大阪市)。資産基準は単身世帯552,000円、2人世帯834,000円、3人以上1,000,000円で、預貯金のほか株式・投資信託・暗号資産も対象です(大阪市)。
押さえておきたいのが上限額の意味です。編集部の読み方では、上限は「支給額の天井」であると同時に「収入基準に算入される家賃の天井」でもあります。単身で家賃55,000円の部屋なら、収入判定に足せる家賃も支給額も最大40,000円で、残り15,000円の自己負担は続きます。家賃が上限を大きく超える部屋では給付金だけで家計が立て直せるとは限らず、家賃の低い住宅への転居費用補助(大阪市)とあわせて窓口で相談する材料になります。

大家に直接支払われる仕組み
支給方法は、本人の口座への振込ではありません。厚生労働省の説明では、賃貸住宅の賃貸人や不動産仲介業者等へ、自治体から直接支払われます(厚生労働省特設サイト)。大阪市の必要書類にも、家主や管理会社等が記入する「入居住宅に関する状況通知書」が含まれています(大阪市)。
この仕組みには2つの側面があります。給付金が家賃以外に流用されず支払いが確実に続く点と、申請の過程で大家や管理会社が事情を知る点です。編集部の見方では、後者は隠すべきことではなく、「家賃の原資が公的に確保される」ことを大家側に示す材料になります。滞納が始まってから家賃保証会社の立替と求償の流れに入るより、双方にとって見通しが立ちやすい状態です。
すでに住まいを失っている場合も対象で、入居予定住宅について不動産媒介業者等が記入する状況通知書を使います(大阪市)。申請先は住む予定の区の区役所です。
受給中に求められる求職活動
給付金は家賃を肩代わりするだけの制度ではなく、就職や事業再生に向けた活動が条件です。大阪市では、離職・廃業・休業等で就労をめざす人の場合、毎月4回以上の区役所の支援員との面接、毎月2回以上のハローワーク等での職業相談、原則週1回以上の求人先への応募または面接が必要です(大阪市「受給期間中の要件」)。
事業再生をめざす人は、経営相談を原則月1回、支援員との面接を毎月4回以上、経営相談先の指導のもとでの自立に向けた活動を月1回以上行います(大阪市「受給期間中の要件」)。いずれも怠ると支給が中止されると明記されています。
支給期間は、厚生労働省の説明では原則3か月間で、延長は2回まで最大9か月間です(厚生労働省特設サイト)。大阪市の案内では「一定期間」と表現されているため、延長の条件は窓口で確認してください。支給終了月の翌月から1年経過後に、解雇や事業主都合の離職などで再び困窮した場合は再支給を申請できます(大阪市)。
淀川区・東淀川区の相談窓口
大阪市では、申請受付の窓口はお住まいの区の区役所です(大阪市)。大阪市が公表する各区の相談窓口のうち、北大阪の2区は次のとおりです(大阪市「生活にお困りの方へ」、2026年9月時点)。
区 | 窓口名 | 電話 |
|---|---|---|
淀川区(新大阪・十三・西中島南方・東三国など) | 生活自立相談窓口 | 06-6195-7851 |
東淀川区(淡路・崇禅寺・下新庄など) | くらしのみのり相談窓口 | 06-6320-0231 |
大阪市は、申請前に各区の相談窓口へメールや電話で問い合わせることを案内しています(大阪市)。区役所の場所や他の手続き窓口は淀川区・東淀川区の区役所ガイドで整理しています。
ここで、編集部が提案する「相談の順番」です。収入が減った直後は預貯金が残っていて資産基準を超えることがあり、取り崩して家賃を払い続けると、滞納は避けられても相談が遅れます。一方で、滞納すると賃貸借契約の基本で整理したとおり契約上の不利益が始まります。そのため編集部の判断軸は「収入が減った月に、まず窓口に電話して自分が対象かどうかを聞く」です。対象外でも、自立相談支援機関は家計や仕事の相談を受け付ける窓口であり(厚生労働省・大阪市)、電話が無駄になりません。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づき、離職・廃業や本人都合によらない収入減で住まいを失うおそれのある人に家賃相当額を支給する制度
- 対象は「離職から2年以内または収入減」「収入・資産が基準以下」「主たる生計維持者」「求職活動を行う」の4条件すべてに該当する人。同居家族が家計を支えている場合は該当しないことがある
- 大阪市の上限は単身40,000円・2人48,000円・3〜5人52,000円で、上限は支給額と収入判定の両方の天井になる
- 給付金は本人ではなく大家や仲介業者へ自治体から直接支払われ、受給中は面接・職業相談・応募の活動要件がある
- 申請窓口は区役所の自立相談支援機関で、淀川区は生活自立相談窓口、東淀川区はくらしのみのり相談窓口。滞納の前、収入が減った月に電話する
基準額や上限額は改定されることがあります。最新の条件は大阪市・厚生労働省の公式ページで確認し、個別の該当可否は区役所の窓口にご相談ください。
※本記事の情報は2026年9月時点の公式公表資料に基づきます。
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出典
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」(2026年9月17日閲覧)
- 厚生労働省 生活支援特設ウェブサイト「住居確保給付金」(2026年9月17日閲覧)
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度 制度の沿革」(2026年9月17日閲覧)
- 大阪市「住居確保給付金(家賃補助)について」(2026年9月17日閲覧)
- 大阪市「住居確保給付金(家賃補助)受給期間中の要件について」(2026年9月17日閲覧)
- 大阪市「生活にお困りの方へ(生活困窮者自立支援事業)」(2026年9月17日閲覧)

