「こども誰でも通園制度」は、親が働いているかどうかを問わず、生後6か月から満3歳未満の未就園児が月10時間まで保育所等に通える制度です。2026年度(令和8年度)からは法律に基づく給付として全国の自治体で実施されています(こども家庭庁)。本記事は、就労要件で入る保育所入所とこの制度の間にどう線を引くかを軸に、大阪市の実施施設と手続きを国と市の一次資料で整理したものです。
2026年度に始まった月10時間の通園給付
この制度の法律上の名前は「乳児等のための支援給付」です。こども家庭庁の手引によれば、児童福祉法に「乳児等通園支援事業」が規定され(令和7年4月1日施行)、子ども・子育て支援法に給付として規定されたのは令和8年4月1日施行。令和5年(2023年)閣議決定の「こども未来戦略」から3年足らずで、幼児教育・保育給付とは別建ての新しい給付が保育制度に加わったことになります。
大阪市も国の方針を受けて令和6年度から試行的事業を行い、令和8年度から給付制度として実施しています(大阪市施策カルテ)。つまり北大阪の子育て家庭にとって、すでに「使える」段階にある制度です。

対象の境界—生後6か月から3歳の誕生日の前々日まで
対象は、利用日時点で生後6か月から満3歳未満の、保育所等に通っていないこどもです(大阪市)。保護者の就労状況は問いません。
境界がはっきりしているのがこの制度の特徴です。国の手引では「満3歳未満」を3歳の誕生日の前々日までと定義しています。誕生日当日ではなく前々日で区切る、というやや意外な線です。
また「未就園児」の線にも細かい区別があります。国の手引では、認可外保育施設に通っているこどもは対象になる一方、企業主導型保育施設に通っているこどもは対象外です。大阪市のページでも、認定こども園・保育所・地域型保育事業・企業主導型保育事業の利用児は除くとされています。
保育所入所との使い分けの線
最も大事な線はここです。月10時間は、週に直すと2時間半ほど。働くための預け先としては設計されていません。就労等を理由に平日の保育が必要なら、従来どおり保育所等の利用調整(入所申込)が本筋です。淀川区の入りやすさは淀川区の保育園は入りやすいのか—申込倍率と空き状況の読み方で整理しています。
一方、こども誰でも通園制度には就労要件がありません。ここが従来制度との決定的な違いです。育休中・自宅で子育て中など、これまで認可保育の枠組みに接点がなかった家庭でも、こどもが家庭以外の環境で過ごす時間を定期的に持てます。
整理すると、線は次のように引けます。
- 平日フルタイムの預け先が必要 → 保育所等の入所申込(利用調整)
- 入所は先だが、こどもに園の経験をさせたい・短時間の預け先がほしい → こども誰でも通園制度
- 月10時間を超える不定期の預かりが必要 → 一時預かり事業等を併用
なお、給付の上限が月10時間であることは法律で定められており、令和8・9年度は市町村が条例で3時間以上10時間未満に設定できる経過措置もあります(国の手引)。大阪市は月10時間までとしています。

大阪市の実施状況—32施設・利用料は施設ごと
大阪市のページ(2026年7月更新)によれば、実施施設は令和8年6月に民間26施設・公立6施設の計32施設に増え、今後も順次拡充予定とされています。ただし福島区の1施設は令和8年4月から休止中です。
利用料は施設ごとに設定され、利用者が施設へ直接支払います。国の手引では1時間あたり300円程度が標準とされていますが、大阪市は具体額を「利用を希望する施設へお問い合わせください」としています。生活保護世帯や市民税非課税世帯等への負担軽減があり、給食費・おやつ代などの実費が別にかかる場合もあります。
淀川区・東淀川区は4施設—実施施設一覧の独自集計
大阪市が公表する実施施設一覧(令和8年4月時点)を、編集部で区別に数え直しました。淀川区は大阪市立加島第1保育所の1施設、東淀川区は幼保連携型認定こども園聖愛園・同あすなろ・ぽっかぽか保育園ぷらすの3施設です。北大阪2区で計4施設になります。
市全体で見ると分布には偏りがあり、住吉区の4施設に対して、実施施設がまだ1つもない区も複数あります。新大阪や十三を抱える淀川区で現時点1施設という数は、拡充待ちの段階と読むのが実態に近いところです。利用したい施設が近くにない場合は、一覧の更新を待つか、隣接区の施設も含めて検討することになります。東淀川区の保育事情は東淀川区の待機児童と保育園事情もあわせてご覧ください。
利用開始までの3ステップ
大阪市の案内では、利用までの流れは次の3段階です。
- 認定申請。 事前に市の認定(乳児等支援給付認定)を受けます。大阪市行政オンラインシステムでの電子申請が案内されており、難しい場合は各区保健福祉センター保育担当等に相談できます。
- システム登録。 認定後、「こども誰でも通園制度総合支援システム」に利用登録し、こどもの情報を入力します。
- 面談予約と利用開始。 システム上で希望施設との面談を予約し、面談を経て利用が始まります。
保育所入所のような就労証明の提出や利用調整(点数)を経ないぶん、入口は軽い設計です。認可保育との申込時期の駆け引きは5月入園はできるのか—北大阪の保育園申込の実際で扱っています。
まとめ—どちらの制度も「線」を知って選ぶ
本記事のポイントを整理します。
- こども誰でも通園制度は、就労要件なし・月10時間までの新しい給付制度(2026年度から全国実施)
- 対象は生後6か月〜満3歳未満の未就園児。3歳の誕生日の前々日までが線
- 働くための預け先は従来どおり保育所入所。月10時間の枠は「こどもの育ちの機会」として使い分ける
- 大阪市は32施設で実施中。淀川区1・東淀川区3の計4施設で、拡充はこれから
施設数や利用料などの詳細は今後変わる可能性があります。最新の内容は大阪市の公式ページと各施設でご確認ください。
あわせて読みたい
出典
- こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」(2026年8月30日確認)
- こども家庭庁「こども誰でも通園制度の実施に関する手引(令和8年3月改訂版)」(2026年8月30日確認)
- 大阪市「大阪市こども誰でも通園制度について」(2026年8月30日確認)
- 大阪市「【こども誰でも通園制度】乳児等支援給付認定にかかる申請等の手続きについて」(2026年8月30日確認)
- 大阪市「大阪市乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)」施策カルテ(2026年8月30日確認)



